幼稚園大好きなランは、旅が終わったら終わったで、一週間ぶりに至極うれしそうに登園した。
しかし、4月から失業中のリーは相変わらず在宅時間が長い。自分から辞めたため、失業保険も出ない。
それですぐ生活に困ることはないにしても、大の男がおてんとさまの高い時間にずーっと家におり、毎日昼寝付きの生活を謳歌しているのに違和感を感じずにはいられなかった。
食品関係の仕事がダメだと結論付けられた今回の旅行。
だが、数人の友人から仕事を紹介する話は来ていた。
そのうち、私と共通の元同僚が誘う会社の面接を受けることになる。
台湾大手の映画会社社長の御曹司がケータイ関係の会社を作るらしく、全く畑違いでもないリーに声がかかったのだ。
他にも、もっと大きく安定した企業の面接を受ける機会にも恵まれたがそういうところには採用されず、結局映画会社の御曹司が社長になる駆け出しの会社に入る流れになる。
まあ、とにかく、働き口があるだけいい。この異常な状態から解放されるだけでも御の字だと思えた。
リーの気持ちを思い計れば、あまり急かすのも申し訳ないが、私がリーに恋をした大きな要因の一つは、バリバリ仕事ができるひとだったことなのである。