たまにだったが、本社から会長がやって来た。この時は、ふだんに輪をかけてビクビク、ガチガチの緊張状態で、寿命がたしかに縮まった気がする。幸い、会長も温和で寛大な人だったおかげで、彼のおしゃべりの相手を務めたりもして、何とかそのたび乗り切った。
台湾留学時代よりも速いペースで中国語は上達して行ったと言っても過言ではなかったろう。必要に迫られ、報酬を得ている身としてやらねばならない、役に立たねばならないとの責任と使命感はどっしり重かった。待たなくてよかった。チャンスを見送らずよかった、と思った。やらねばならぬ状況に身を置いて、仕事をしながら鍛えられるものだと体得した。
お酒屋さんと通訳で、ほとんど休日なし。それでも楽しかった。楽しいから休みたいとも思わなかった。