日本に帰国してちょうど丸1ヶ月経ったその日、運動会の代休で家で遊んでいた娘たち、ランが家の中に駆け入って来た。
「ママ〜、メイが池に落ちた!」
え?!
しばらくして、本当にずぶ濡れになったメイがとぼとぼと歩いて来た。
まだ9月とはいえ、かなり寒そうだし、泥もついてそうなので急いでお風呂を用意してやる。メイは泣かず、ただ驚いているだけだった。
近くで見ていた父が言う。
「びっくりしたと思うわ。どっぷり浸かって、頭のてっぺんの半径10センチくらいだけが見える瞬間があった。」
と、笑いをこらえる調子で報告する。
実際、危険な状況ではなかったので、今なお語り継がれる笑い話になっている。
「どんぐりころころ どんぶりこ お池にはまってさあたいへん
どじょうが出て来てこんにちは……」
この歌をちょうど覚えた頃だった娘たち。
池の鯉たちもびっくりしたことだろう。