中国人労働者が増える中、通訳がいれば助かる企業は多いはずだが
通訳一人をわざわざ雇う余裕が無いのが実情なのだ。
それにその家電メーカーの部長が言うように、継続的に中国から労働者を呼ぶ企業も多く、来日して2〜3年もすると日常会話や現場で使用する専門用語などを覚え、次に来る中国人仲間に教えてやれるというのだ。至極当然と言えば当然のことである。
よって、通訳なんて要らないわけである。私がその会社に採用されるには、流れ作業が多い現場の工員として1日8時間ほど働くことが条件になった。その中で中国語通訳の仕事が3%か5%くらいあるかもしれない、ということだった。
地元の人に聞くと、細かい作業もあり、目や腰を痛める人もいるという。それに母だけに子守りを預けられる状況でもなく、とても毎日8時間も家を空けることは無理だった。
リーからの仕送りはあったが、まったく無収入というのも彼に対しても申し訳なかった。台湾より日本の方がずっと物価は高いのだし。
1週間ほど私は仕事のことばかり考えていた。精神的な充実のためにも何かしたかった。
そうだ。やはり中国語を駆使してできることをやってみよう。
そう決めると、新聞折込み広告や生徒募集ポスターなど、次々とアイデアが浮かんで来た。地元新聞社にも売り込みメールを書いてみた。