その東京の出版社から1ヶ月ほど前、エッセー3次予選通過の知らせはもらっていた。
よって、次に何か通知があるのは賞に入った者だけとはわかっていたのだ。
夕暮れの郵便受けの前でドキドキ、その場で白い封筒を破り開ける。
『客家の祖母より綿々と』のエッセーが「入賞」に選ばれた。
「入賞」はトップの「大賞」から数えて4番目の賞だったが、その出版社の定期雑誌に掲載される可能性は高く、賞状、賞品、授賞式出席など「副賞」もついている。
喜びに沸き立ちながらも、私はハッとした。
この封書は東京を8月1日に出たものである。受賞者への諸々の指示があるが、その期限をとっくに過ぎているではないか。今日はもう8月21日だ。
家に入り、さらに詳しく調べてみると、その封書はなんと切手不足でとことん道草をしてから台北の我が家に届いたことがわかった。
幸い、そこには出版社のメールアドレスがあったので、私は急いで編集長あてに手紙をしたためた。