リーと娘たちはかき氷を食べことにする。私は甘い物が苦手ゆえ、その間にのぞいてみたい民芸品の店やブティックに歩く。
何も買う物はなく、かき氷屋に行くと、3人はまだ氷を囲んでいた。
台湾のかき氷はだいたい丼サイズである。そのチェーン店も然りで、3人は各々にスプーンを握り、鍋でも食べる格好だ。冷たくて甘いデザートが大好きな娘たちは争うようにつっついている。
メインストリートの中山路だけは踏破したが、どうにも暑いし、おみやげを買って帰ろうということになったのは3時頃だった。道行く観光客のほとんどが提げている袋の店に私たちも急ぐ。
その店の名は『玉珍斎』。
1877年、貿易港として黄金期にあった鹿港で伝統の中華菓子を愛する商人・黄錦が泉州からやって来た菓子職人と協力して開いた老舗である。
台湾人ならまず誰でも知っているほどの有名店で、事実、義母が「鹿港へ行くなら玉珍斎のお菓子を買って来て」とリーに頼んだと言う。
羊羹やパイナップルケーキ、蒸し菓子などなど100種類はある。洋菓子にも引けをとらない華やかさがあり、パッケージもいろいろ凝っていてお店を見て回るだけでも楽しい。
おみやげはそこですべてそろえる。
同じ中山路で、リーが蒸しパンを買って帰ろうと足を止める。肉まんなども売っている。看板には『阿振肉包』とある。かつて日本人がここで修行したと書いてあるが、どういうことなのだろう。