どんどん南下している実感がする。
1回目の留学時代、高雄の友人宅を訪れた時、一度台南までは行ったことがあった。台北にいる時以上に大きな椰子の木が目に入り、台湾の中でも至極南国らしい風情にうっとりしたものだったが、屏東縣の墾丁地域は正真正銘の台湾最南端の地である。
よく晴れた午後だった。マイカーの窓から海が見え始める。
午後4時過ぎ、リーが予約していた「ペンション荷園」にチェックイン。白塗りのログハウス風の家が敷地内に点在している。私たちは611号室だ。一戸建て形式のペンションで、車は各家の前に駐車できる。
さっそく荷物を部屋に運び入れる。新しくシンプルな造りで掃除もよくされているが、ゴキブリ一匹を洗面所で目撃! こがね虫もいたしトカゲがささっと横切る。
なんだこの家は?!
台湾最南部だからこうなのか、このペンションがこうなのか……
不安を残しつつ、再び車で出かけることにする。
夕暮れ近い海岸で車を停め、砂浜に降りると、まだ大勢がビーチバレーや泳ぎに興じ、活気がある。そして、ため息が出るほど美しい海が広がっていた。