リーと彼が話す間、ランとメイはポカリスエットをもらい、その缶やテイッシュケースなどその辺のもので叱られながらもまずまずいい子にしていた。
私はたま〜に2人の会話に参加しつつ、話を聞いていた。
「台湾の名産品を日本に輸出したり、日本の、たとえば妻の実家の方の名産品をこっちで販売するってのはどうかな。」
リーは陳さんに直接会って訊いてみたかった質問を順に投げかけた。
だが、陳さんは耳障りの良いことは言わなかった。
「それは難しいよ。今、食品会社自体やってて楽じゃない。貿易で利益を得るには大規模に手がけないといけないが、日本の、たとえば君が言う酒でも暑い台湾に持って来て長期保存するとなると保管する場所や方法を確保するだけでも骨が折れる。」
やめといた方がいい、と。
リーは陳さんと手を組んで何かできたらいいなあとも考えていたが、そんなことを口に出せる状況でもなかった。
商売とは別に、私と娘たちが1〜2年日本へ帰ることになるだろうとも打ち明けていた。就学以前に、持病が悪化する祖父のもとへ娘たちをやることにリーは賛成していた。
2:50、陳さんと別れ、屏東縣最南端の墾丁目指し、マイカーはひた走った。南北に長いその縣、思ったより遠く、墾丁到着は4時頃になった。