リーが在宅になり便利になったことは、彼がメイと午睡をするので平日でも伊巴珈琲に行き、一服できるようになったことだった。
胃潰瘍から復帰後、王さんは芳しくない経営状況打破のため、営業時間を変えたり、朝食をやろうかとか、新メニューをレシピ本を見ながら練ったりするようになっていた。
私も意見を求められ、2人であーだこーだ考えたりもした。
その日、伊巴珈琲の店内で小説の構想が浮かぶ、
一週間ほど前、台中に帰省した台湾人の友人からもらった電話がきっかけだった。某テレビ局に勤める愛称ゴマくんから、学生時代通った師範大学そばの食堂が店を閉めたという話から、いつかは書きたいと思っていたテーマがどんどんまとまり始めたのだ。
その後、その作品は10ヶ月ほどかかり、原稿用紙350枚の大作に仕上がることになる。
5月6日(火)昼食後、リーにメイを任せ、台湾大学病院へ向かう。
マウスピースが出来上がる日で、午前中ではなく午後来るよう言われていたのだ。