当時の幹部10名ほどを困らせた当の財務担当者はまだそのポストにあり、リーたちが無実を証明するために奔走している最中に妻と日本へ観光旅行するなど、かなりの神経の太さを露呈し、ムッとしたが、まあとにかくよかった。30万円近い弁護士費用を払い、ひょっとしたらその3~4倍の罰金を支払わなければならないかもしれないと聞かされて穏やかでなかった。
無実が確定した夜、容疑をかけられた元同僚の中でもっとも気が合う友人とリーは祝杯をあげに出かけた。
日本移住を願う気持ちはその頃ずっと私にあった。
リーも少なからずその意向は持っていたが、不安定な夫婦の仲にあり
また、日常は素知らぬ顔でどんどん過ぎて、具体的にならずにいた。
3月には退職すると言っていたリーはまだかろうじて留まっていた3月初め。1月ひどい風邪でダウンした私は再度体調を崩していた。そのせいか、ある夜就寝間もなくこむら返りが起こり、隣室でテレビを見ていたリーを呼んだ。
右足がひね曲がるほどのオソロシイこむら返り。もちろん生まれてこのかな経験したことがない。救急車を呼ぼうか……