根本的解決には程遠いが、波風はおさまり、また危なげな日々が続いた。なんとかしなければ、と焦る気持ちを抱えつつ、結局有効な手は打てないまま時間は過ぎて行った。
日本なら師走で正月気分高まる12月下旬、メイが義母宅へ行く朝、私はランを連れ、G出版社に行くことを思いつく。ちょうど出来上がった書評もあったし、お天気が良く、またG出版はリーの会社から至近距離にあり、リーの出勤時に載せて行ってもらえるのだ。例によってG出版の次期社長はそこのひとり娘で、婿に行ったのがリーと私共通の元同僚である。その彼に会うのもいいだろう。
このプランを朝話すと、リーは快諾、彼の愛車は3人で台北市内湖区を目指した。その日はほとんど渋滞に遭わず、25分くらいで着くので驚いた。
突然の訪問だったが、日本語書籍担当の金さんたちは喜んで私とランを迎えてくれた。3歳になったばかりのランは社内の多くの社員の気を引き、お菓子をもらったり、相手になってもらったり、にぎやかだ。
果たして、逆玉の輿、事実上マスオさん状態にある元同僚・小宏とも久しぶりの再会。楽しいひとときであった。
帰りは214番のバスで帰る。乗り換えなしだが、リーの車のように一直線に我が家へは行かず、飽きるほど回りまわってようやく辿り着く。
でもよかった。G出版に行ったのは、リーとの共通の話題づくりの意味もあったのだ。