だが、風邪をひいても娘たちの食欲が落ちることはほとんどなく、ふだん通り元気でいてくれた。2100gと、ランよりさらに270g小さく生まれたメイもだんだん、すくすく育ち、自分のより多く盛られた姉のおやつにすばやく手を伸ばすこともあった。なかなかのお転婆。
あの頃私を悩ませたのは、依然として2歳のランの頑固な反抗期で、我はとことん通すわ、気に入らないと叩くわ、わめくわで育児ノイローゼ寸前だった。
メイの特徴は大の犬好ということと、ランとちがい、苺やキウイなど見た目がきれいで、子どもならふつう喜びそうなものでも初回はだいたい敬遠し食べない点だった。この2点は現在でも見られる彼女の性質である。
さて、10日間で新しい会社を辞めたリーは少しずつ回復していた。
私も勤めていたオンラインゲームの会社やそこをリーのように退職した友人たちとも連絡を取り、「次」を探し始めたが、コラーゲンの会社を辞めたことで、かねてからあった起業への熱き思いが再燃するのは必至。私はそれをとても怖れた。
リーが最も興味を抱いたのは、民宿(ペンションと称してもよい)経営だった。
ここでも書いたことのある、台北の北隣りの宜蘭縣東澳という海辺の小さな町を彼はこよなく愛し、そこで海が見える小さな民宿をやるとの構想があった。