台湾も魚消費量は多い。日本にない種類もあり、おいしいが、干し魚を素焼きして食べる習慣がない。揚げる、油で炒める、鍋物に入れるのがふつうで、私はいわゆる魚の「塩焼き」が時々とても恋しくなるものだ。
リーは日本の干物か、塩焼きにしたさんまやアジに目がなく、来日時の楽しみのひとつにしている。
私も台北では味わえない日本の味をどんどん作った。
まだ肌寒い日が多く、鮭の粕汁がおいしかった。
お好み焼きも日本が誇る珍味、ランも大好きだ。
この頃から、メイの食事を少しずつ私たちと同じメニューにする。スパゲティははじめ戸惑ったが、手でわしづかみにして食べた。
帰国後まもなくランは腸かぜをひき、小児科へ走ったが、回復は早くすこぶる食欲、反抗期真っ只中で泣かされたものである。
初めての子育てで思うように冷静になれない自分を嘆くこと多々あったあの頃。
私の人生にランとメイがいるのではなく、ランとメイの生活の隅に私がいるのだ、と自分を戒める言葉を日記に記している。