初めのうちは時間の過ぎるのが遅かった。
まず驚いたのは、ソウルの蒸し暑い夏である。台北や日本の実家の方より格段に涼しいと高をくくっていたが、しっかり暑かった。台湾ほどの高湿で高温ではないが、日本の夏によく似ていた。
それから、儒教精神が浸透した慎ましやかな国、とのイメージが強かったが、それを覆したのは韓国女性である。他の多くの国のように、真夏のその時期、タンクトップなど、肌をたっぷり出す身なりで闊歩する女性はそこかしこにいた。
それに、だ。
たとえば、道や地下街を歩いていて、ちょうど双方向からぶつかる格好になっても、ガンとして道を譲らない女性がほとんどだった。それは当初リーが指摘してもいた。
また、誰が見ていようといちゃいちゃするカップルもいる。とても普通な国なのだと気づく。
あと、特記することは新居である。
越して来た辺りは高級住宅地だったと書いたが、その完成したばかりのマンションも一生のうちに再度住むことがあるだろうか、と思うほどの広さで、快適だった。「宝くじに当たったようなもの」と知人友人に表現したものだ。
最新のカードキー。
大小含め、ベッドルームになるのが4部屋。
シャワールーム2つ。
クローゼットと洗濯機も悠々としたスペースを持ち、幼い娘たちが運動会を開けるほどのリビングとその一画にあるキッチン。
玄関に誰か来ると、カメラに映し出される。
午後、下の庭に高校生くらいの女の子がおおぜい座って談笑しているなと思っていることがあった。聞けばそのマンションに有名なタレントが住んでいることだった。
例によって、韓流とはまったく流れを別にする私にはさほどの興奮も好奇心も起きなかったが、とにかくすばらしい住居ではあった。