名前に覚えがある。
従兄と、電話予約した際聞いた行き方を頼りに、無事たどり着けた。
大事に持参した二胡をまさにお医者様に診せる思いで楽器店に持ち入る。店員らしい女性ひとりと、数ヶ所ある支店を巡回するという楽器職人(?)がいた。その男性が、二胡を修理できる人である。
事情は電話でだいたい話しておいた。台湾から予備にと持ち帰った弦を渡し、それに張り替えてもらう。
「最近は日本でも二胡を弾く人が増えたみたいですね。」
彼の作業を見ながら話しかける。
「そうですねえ。今は落ち着いたけど、去年あたり、毎日一本は売れるくらいブームの時期もありました。」
え、そんなに? 都会でもないこの辺りで、それはすごい。
「だいたいいくらくらいのがよく出ました?」
「うーん、一万円ちょっとくらいかな。」
台湾ドルに換算すると約3000〜5000元、いちばん安いところだ。ちょっとやってみたい、というくらいなら、そのあたりから始めるのも仕方ないだろう。
私が台湾のそのスジの人に言われたのは、長く弾くなら最低一万元のものがいいとのことだった。30000〜35000円に相当する。
「ここでは二胡を教えてませんが、市内に習える教室はあるそうですよ。」
楽器職人氏は作業の手を止めずに言った。
店内を見せてもらうと、二胡グッズもあった。たしか弦は500円ほどだった。私が買って帰った台湾の物は約250円、やはり日本の方が高い。
弦は見事に新調された。感謝感激。修理費もわずか400円。
その上、楽器職人氏は、蛇皮に負担がかかるので鉛筆などをそれと弦の間に挟んで保管した方がいいと、店にあった短い鉛筆を無料提供し実演してくれた。