調音でさえ上手ではなく、弦を張り替えたりなど怖くてできない。
飛行機等の移動で弦が緩み、そのせいで音が狂い、しっかり調音しなおさねばならず、ぎーこぎーこやっていたら細い方の外弦がプツリ><
だが、救いの手が伸ばされる。
その日、車で20分ほどの町に住む従兄が2人の娘を連れてメイの誕生祝いなどを持ち、遊びに来てくれた。4人姉妹のうちの長女と四女で、話題は中1の四女が習っているバイオリンに飛んだ。バイオリンなんて、この近辺で教えているところがあるのだろうか。
訊くと、隣りの市まで往復一時間半かけて週に一度レッスンに行っているという。もともとは楽器屋で音楽教室が併設されているらしい。
「二胡も教えてますか?」
日本でも当時二胡は女子十二楽坊の影響でメジャーになっていたため、ひょっとしたら、と思ったのだ。
二胡の教授はなかったが、修理はできる人がいると従兄はその後電話をくれた。
さっそく自らそこへ電話をして、事情を話し、二胡を扱えるスタッフが隣りの市にある本店にいる時間に出向く予約を取り付けた。
ロタウィルスの猛威から回復したのが発症から6日目の5月4日。
その約一週間後の10日、私は車でその楽器店を目指した。
自宅から近くはないが、中国古典楽器を修理できる人がまだこれくらいの距離にいることに、大きな安堵を覚えた。