下痢と嘔吐にも波があり、どうか小康状態の今のうちに病院に、と祈る。
「トイレに行きたくなったら言ってくださいね。」
とやさしく声をかけられるが、その措置が不要でありますように。
思い通じて、無事県立病院に着いた。
宿直医は女性で、数人の看護師さんが診察をサポートする。
時間を見計らって父が車で迎えに来てくれた。
処方箋を病院傍の薬局に持って行き、できあがるのを待つ間にまたトイレに駆け込んだ。自宅までの道中が心配になる。
何とか帰り着き、ランの離乳食やメイの授乳法を母に伝授し、私は父の書斎にこもる。まともに食べられないのに、炊事など可能な状況ではない。書斎に移動したのは、トイレに最も近いからだ。
もちろん、食欲はない。だが、なぜか、森永のマリービスケットが食べたくなり、あれだけは身体が受けつけた。不思議である。
薬をもらったとは言え、例によってロタウィルスは対処療法しかない。飲んだからといって、すぐ回復するものではない。
その上、夕方には母の下痢が始まった。彼女はまだ軽症で、自ら運転し、かかりつけの内科医を訪ねた。
どうしよう、、、、私はこのひどい症状と闘い、耐えるのが精一杯で娘たちの世話など無理だ。
父は昭和ひとケタ生まれ、家事などほとんどできない。女2人が寝込んでしまったら家内が回らなくなる、、、、、
私は痩せゆく身体を横たえて、途方に暮れた。