「寒かった?」
と詰め寄る私に、
「寒いよお、雪も降ったし。やっぱり台湾よりずっと乾燥してるから静電気が起こって、あれがつらいな。」
と答える。
まあ、それはそうだろう。2月下旬、日本でも第一級の寒さが猛威を振るう頃だ。
それに、台湾は一年を通して多湿である。静電気なんて来ない。日本で言う梅雨が、台湾では少し早く訪れるが、その時期よりかえって1~2月にじめじめとした長雨が続くことがある。晴れていても洗濯物が乾かず、おかしいなあと湿度計を見ると80%を超えている。台北は冬でもだいたい湿度が60~70%あるのが普通だ。
湿度80%を超えると洗濯物は洗った時のまま乾かない。これは体験から学んだ。そういう日は洗濯物を一室に集めて除湿機をつける。
空気が湿っていても、風邪はひく。
ランの風邪は私にもうつり、メイも様子が少しおかしい。
リーが戻った翌日、ランの予防接種も兼ねて嘉櫻医院へ行き、私は診察を受けた。薬を飲むため、5日間母乳は禁止となった。
精神的にまいってしまいそうになりがちだった夜中も続くメイのおっぱい催促は、徐々に時間の間隔があくようになった。ふた晩続いて連続5時間寝てくれて、つらい期間はずっと続くものではないんだとあらためて自分に言い聞かせる。
翌日曜の夜、リーが羊肉爐を作ってくれた。台湾ではポピュラーな羊肉の鍋料理で、「温」質の羊肉は特に冬いただくのが身体に良いという。独特の香りと湯気に温まる夕べ。