リーは「忘年会へは顔も出さずに、すぐ病院へ行くから」と言っていた。ああいう席が嫌いとは思えないが、いわゆる管理職にある彼は、賞品等をもらえることはなく、もっぱらもし抽選で当たっても、その権利を得たことを辞退し若手に譲り、その上ドネーションまでしなくてはならなかったから気持ちはわかる。ドネーションの額も日本円で3万円以上が相場だったのでなおさらだ。
ほんとに生まれるのかなぁ、とのんきに横になっていた私は、突然加速した陣痛にのた打ち回っていた。カーテンが閉まっていてよかった。
リーは5時頃ようやく会社から到着。ランを産む時、早朝にもかかわらず来てくれた義母はケータイにかけてもダメで、つかまらなかった。2人目ともなるとこうなのだろうか。
リーは看護師さんたちと事務的な話を始めていた。
その間にも、私のお腹と腰の痛みは増し、見かねた最年長看護師は、
「胎児は小さいし、早めに分娩室にはいりましょっ!」
と、さすがの判断と存在感で仕切った。
到着して間もないリーも、立ち会う準備に入った。