ランの突発性発疹後も続く赤いブツブツと軽い咳は良くも悪くもならないなか、今度は私が風邪をひいた。咳もひどい。また気管支炎ではないかと思うほどつらくなったので、リーの勧めもあり、台北市立和平医院へ行った。
案の定、いわゆる個人医院である「診所」より待ち時間が長く大仕事だ。それに、やっと診察の順番がめぐって来たものの、その初老の医師は聴診器を胸に当てようともせず、私の症状と経過報告にフンフンとうなづき、処方する薬をパソコンに打ち込むだけだった。
私は怒りをぐっと抑え、何も言わなかったが、名医と藪医者云々以前の問題を感じた。日本にこんな医者いたっけ・・・?
せっかく大きな総合病院へ来たのに、あと味悪い思いで家路に着いた。
もらった薬は3日分すべて飲み終え、いくらか楽にはなった。
ちょうどその日、リーが「油飯」を会社から持ち帰った。私のかつての同僚でもある阿昌の愛息が満一ヶ月を迎えたお祝いの品である。
ご記憶にあるだろうか。
台湾では赤ちゃんが満一ヶ月になると、親戚やお祝いをもらった知人友人などに日本で言う「内祝」なるものを贈る風習がある。
ランは女の子なので栗のケーキにしたが、阿昌の子供は男の子なので、もち米で炊く油飯だ。
台湾は日本よりもち米を用いる食べ物が多い。
「冷めてるから、チンじゃなくてもう一回蒸し直してよ。」
たしかに再度蒸す方がほっくりしておいしくなるだろう。日本人にすれば赤飯のようなもの。リーの気に入るように蒸してテーブルへ。
久しぶりに私は阿昌と電話で話した。8年の交際を経て結ばれた彼の愛妻とも社員旅行をともにしたことがある。私の大切な台湾の友人夫婦であった。おめでとう!