だが、ホッとしたのも束の間、日付が変わったばかりの深夜0:30頃、リーがランを抱っこしたまま私を起こす。
「ランが目を覚ましたようだから行ってみると、39.1度あるよ。」
と言う。解熱用の座薬をもらってはいるものの、2人とも不安で仕方ない。ランのそれほどの高熱はもちろん初めてだし、やはり苦しいのだろう、ぐずったり、下痢気味にもなっている。
リーと相談し、「掛急診」することにする。急診で診てもらうということだ。
しばらく迷ったが、時間外でも小児科医が待機している可能性が高いと思われる台北市内の婦幼医院に決める。中国語で「医院」が日本の病院に相当するため、大型医療機関を想像してほしい。
私のかつて通った中国語学校がある地域で、何度かその前を通ったことがあった。
リーのパジェロは疾駆する。夜中なので駐車は楽にできた。
ランを抱きしめ、受付を済ませる。
果たして、小児科医は執務しており、若く聡明そうな女医がランを診てくれた。
採血の結果、白血球などに異常はなく、私たち夫婦とは対照的に落ち着いた女医は看護士に座薬を入れるよう指示した。その時、リーも私もまだ座薬を誰かに入れた経験はなく、今後のために質問しながら要領を頭に入れた。
原因がはっきりしないため、しばらく様子を見ようということになる。出された薬は2種類の解熱剤のみだった。