立って、歩き始めて約10日後、ランは晴れて満一歳の誕生日を迎えた。
その日はちょうど土曜日だった。近くに住む親戚をレストランに招待し、満一歳の祝宴を開いた。十数人が集った。
満一ヶ月を「満月(マンユエ)」といい、かなり大掛かりに祝うと書いたが、その時にも食事の席を設ける家庭もある。うちはちょっと高級なケーキを配っただけだった。
華やかなことがあまり好きではないリーと私は、もともと一歳の誕生日も慎ましやかに過ごすつもりだったが、すぐ近所に住む、ランとほとんど時期を同じくして生まれた従妹の家族が、一回宴を開いてはと持ちかけてきたため、重い腰を上げたのだった。
ランの行動範囲はどんどん広がり、タンスの中のものを全部出したりしてお転婆ぶりを発揮しだした。差し出したものの味が薄すぎると嫌がったり、「もしもし」と言うと、右手を耳にあてて電話するポーズをとる。
生まれてたった一年なのに、こんな知恵がつくものなのだ。
どうしたものか26度まで上がり、夏が再来したような陽気で11月が始まった。