ランは毎週木曜日、義母が預かってくれたが、義母が希望し、ランを一泊させようとして夜泣かれ、どうあやしてもダメでリーがバイクで迎えに行ったりの頃だった。
そして、週末2日間は基本的に夕方義母宅へ帰り、義母の手料理をいただき、8時頃いとましていた。それがリーが好む休日の過ごし方だった。
土曜日、家族3人で近くの大型スーパーへ買物に行った帰りのことだった。リーがあれこれと私への不平不満を挙げ連ね始めた。
彼には理想の子育て観や夫婦像がある。それが必ずしも私のそれとは一致しない。それは仕方ないことでもある。ピタッと一致する夫婦の方が少ないかもしれない。私にも反省点があるのも認める。
それから、彼は確かに矛盾したことも言う。前回ああ言ったのに、今回はこう言う、ということはちょくちょくあった。いったい何を信じ、従えばよいのか混乱することも多々あった。
険しい表情で責められているうちに、私はいたたまれなくなってきた。そんな気持ちになるのは初めてではなかった。それまでも再三悩み、気に病んでいたのだ。
その日の午後2時頃、荒れた空模様ではあったが、リーがランと一緒に午睡中、私は急いで一泊分の身支度を整え、家を出た。行ってもよさそうな知人がいる場所を猛スピードで考えつつ、バスに乗った。
あれが初めての家出だった。