山中、確かに何台もの車が行き交っていたが、そこへ着いて別世界にやって来たような錯覚を感じるほど、山頂付近とは思えないような賑わいぶりである。
まず目に入るのは、今夜の宿となる天祥晶華酒店の瀟洒な建物だ。晶華酒店は台北にもあり、あのリージェントホテルの中国語名である。
そこから広い駐車場が伸びており、鉄道駅や土産物屋、飲食店がかたまり並んでいる。
色とりどりの観光バスが午睡をしているように見える。土産物袋やカメラを提げて歩く人々、ホテル側の一角でソフトクリームを売る露店は大繁盛、その他土産物も観光地としてはかなり垢抜けたものが多く、外国人観光客の姿もちらほら。空気はひんやりし、緑がまばゆい。襲って来そうな怪物大理石も見えず、心安らぐ。
さて、チェックインだ。
それは何ら問題ないのだが、宿が変わるたびにリーは家財道具を車から運び入れたり出したり、かなりの重労働である。私も極力手伝う。
手続が終わり、部屋に向かう。ホテルのロビーから一歩客室空間へ入ると、外の喧騒は嘘のように遮断され、足に優しい厚みある絨毯や品の良い内装と色使い、中庭やその向こうに見える山の景色に癒される。観光客の多くは、一泊せずに山を降りるのだろう。
用意されたツインルームも広くゴージャスだ。しかし、ベビーベッドはないと言われた。旅中、睡眠時間が短く、お腹が減るのか、食欲旺盛なランを横目に腕組み。どうしよう、、、、、