「え? 何なの、これ?」
我に返ったリーは、驚きや嘆きをすでに通り越して笑って言う、
「めったに下がらない低温になって、かなり暖房焚いたでしょう、たぶん慣れない温度差の関係だと思うよ」
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本当にそうらしかった。そういうことがあるらしかった。
台湾では当地でいう低温になった場合、凍死する人が出るし、あの年は一酸化炭素中毒で倒れる人が続出した。ふだん長時間にわたり暖房器具を使用したことがないためだろう。
バリバリバリッは、その後短いのが数回再来した。家の中に突然工事現場のセットが作られたようにも見える。
泣けてきた。
修理費用はかなりの額になるだろうし、何より職人さんが出入して、ドドドドッと工事が家の中で行われるのがイヤだった。
リーの仲の良い知人がその方面の会社をやっており、修理の段取りは早々に進んだが、案の定、最低一週間ほどはかかり、費用は台湾ドルで約10万元ということだった。当時のレートで言えば、約35万円である。
ランだけが、まったく別の平和な世界でまどろんでいるような、愛らしい表情で眠っていた。