嘘のような話でもあり、映画の特撮を見ているようでもある事態になっていた。リビングのソファセットやテーブル、テレビなどを置いていない部分、すなわち、キッチンの前辺りからずーっと玄関に続くところまで約4〜5m、タイル製の白い床が隆起している。大きなモグラでも走り抜けた感じだ。平素、私よりは冷静なリーでさえ、いったい何が起こったか解せぬ表情で驚いている。
「え? 何なの、これ?」
我に返ったリーは、驚きや嘆きをすでに通り越して笑って言う、
「めったに下がらない低温になって、かなり暖房焚いたでしょう、たぶん慣れない温度差の関係だと思うよ」
・・・・・・・・・・・・・・><
本当にそうらしかった。そういうことがあるらしかった。
台湾では当地でいう低温になった場合、凍死する人が出るし、あの年は一酸化炭素中毒で倒れる人が続出した。ふだん長時間にわたり暖房器具を使用したことがないためだろう。
バリバリバリッは、その後短いのが数回再来した。家の中に突然工事現場のセットが作られたようにも見える。
泣けてきた。
修理費用はかなりの額になるだろうし、何より職人さんが出入して、ドドドドッと工事が家の中で行われるのがイヤだった。
リーの仲の良い知人がその方面の会社をやっており、修理の段取りは早々に進んだが、案の定、最低一週間ほどはかかり、費用は台湾ドルで約10万元ということだった。当時のレートで言えば、約35万円である。
ランだけが、まったく別の平和な世界でまどろんでいるような、愛らしい表情で眠っていた。
2009年02月25日
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