「マンユエ」と聞いて、前後の文脈から「満月」の文字がすぐ浮かんだが、想像以上に台湾ではこの生後一ヶ月を盛大に祝う。
ラン誕生後、数ヶ月のちにリーの従妹も出産した。そして、彼女の家族は結構高給なレストランを予約し、親戚を招待して昼食をご馳走した。これは少しも珍しいことではなかった。
ランの場合は、標準児より小さく、あまり環境を変えたくないなどの理由で催さなかったが、ケーキは親戚や同僚に配った。会席して祝ったり、日本で言うといただいた出産祝のお返しの品を贈ったりするのがしきたりである。
珂産婦人科や坐月子センターにいる頃から、どこから入って来るのかお菓子屋や満月贈答品を扱う業者がチラシを置いて行った。お返しの品はだいたい男の子なら油飯(もち米で炊くお赤飯みたいなもの)、女の子ならケーキやお菓子が一般的だ。
リーも私同様、あまり華やかな催し事を好まないが、満月の贈り物だけはしようと、数十箱のケーキを予約した。長方形タイプで、たしか栗を使ったものだった。
リーは会社での職位がすでに高く、親しい同僚から「リー、OOのケーキはやめてよ」などと冷やかされたらしく、お菓子チェーン店では高級な部類に入る店のものを選び、配っていた。
生後一ヶ月も過ぎると、私の体重は妊娠前に戻ったり、ランの諸々の予防接種にも気をつけねばならなくなる時期であった。