2009年02月12日

夜中の「ポッ」は破水の音。

臍帯血バンクにへその緒から採取した血液を預けることは、リーが友人から聞き、決めたことだった。子供が二十歳になるまで保管してもらえる。彼はその会社に連絡して、数時間後にはまだ温かいそれを受け取りに出向いた担当者に手渡す段取りを組んでいた。
陳医師と一人の看護士と私だけが分娩室に残った。産後の処置が必要だった。
なかでも傷口の縫合は思い出してもコワい。麻酔は施されているものの、かなり痛かった。私は依然眼鏡などできず、辺りはぼんやりとしか見えないのだが、足元の陳医師が針と糸を持ち、縫っている様子がわかる。相当長い糸らしく、一回一回医師がびゅーんと右手を上の方に上げて引っ張っている。チクリッ。続いて引っ張られる衝撃が傷口にひびき、何とも気持ち悪い。痛い。
なのに、陳医師はニコニコと私の踏んばりを讃え、「えーっと、これ、日本語で何て言うんだっけ?」と訊いたりしながら、次々と私に話しかけてくる。私は、文字通り歯を食いしばって応えるしかなかった。
ようやく一連の処置が終わり、5階の病室に移されたのが7時過ぎ。
リーは会社に電話して、規定通り3日間の「産休」を許された。
10月30日。晴れ。前日夜のロングウォークが効いたのか、予定日より10日早く、シュンランは破水して誕生した。
posted by マダム スン at 05:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾の家庭に嫁ぐ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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