私は考えて、郵便局の全国各地の特産物を産地直送してくれるギフトカタログから、100%みかんジュース詰め合わせセットをお礼に送ることにした。暑くなり始めたし、一人暮らしの彼にはいいのではないかと思ったのである。
さて、お腹の子はよく動き、順調に成長しているようだった。だが、依然として、朝食後お昼近くまでベッドに臥す毎日だった。SARSは相変わらずニュース番組の常連で、アジアを中心に暴れていた。
私は台湾に帰りたくなかった。悪阻がまだ重く、実家で静養しているのが理想に感じられたし、何よりお腹の我が子を守らねばならない。
ところが、リーの帰れコールは日毎熱を帯び、SARSは峠を越し、台湾はもう安全と言えるという。無犯罪証明を取得し、私にも強く滞在延長を主張し得る「武器」がなくなり、苦しいところだった。
航空各社はアジア便を減らしたり、運行そのものを見合わせたりしていたが、私が持つ一年オープンチケットの航空会社は、他社と共同運航の形で6月20日以降台湾線を再開させることになった。
台湾を離れ、すでに2ヶ月半。当初の一ヶ月ほど、という予定を大幅にオーバーしていたし、悲しいかな、いよいよ台北に戻らなくてはまずい情況になってきた。
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