お腹の膨らみが見て取れるようになっていた私は、歩く速度もよりスローになり、いささかペンギンの如き足取りで鑑識課へ上がった。
証明書の名称とは似つかぬ平和な空気が流れる鑑識課で、最新の機器に思しきものが指紋を読み取り、30分ほどで交付申請は完了、10日後以降取りに来るよう指示された。
この証明書の交付申請にもあれこれ書類が必要だったし、車ではるばる2時間かけてやってきたこともあり、私は大いに安堵したが、受け取りのことが気にかかった。郵送はしてくれないのだ。
困った。また、わざわざ受け取りだけに遠路やって来るのは考えただけでつらい。
元気なら、半日遊んで行きたい馴染みある街の様子を車中から見送りつつ、私は考えた。
そこで思いついたのは従弟だ。同郷で、その街在住の従弟がおり、彼なら取りに行ってくれそうに思えた。
帰宅後、私は彼に電話を入れ、手紙も書いて、代理人が携えるべき用紙を同封して郵送した。交付は平日しか行われず、申し訳なかったが、外回りの仕事がある日に行って来る、と快く、ありがたい返事をくれた。感謝感謝である。
そして、案の定、私は翌日長時間車に揺られた後遺症で、終日根が生えたように寝込んでしまった。
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