リーの両親は結婚後すぐ子宝に恵まれ、母親はその後一度も勤めに出ず、子育てに追われた。軍人の給与は良い方で、2人は努めて節制し貯金して、3人の子供すべてを米国に大学院留学させ、いずれにも修士号をとらせた。
リーの弟は建築関係が専門で、今もって独身の姉は英語堪能、バリバリ働く、いわゆるキャリアウーマンである。
「チャンスがあるなら、もう一度渡米して博士号をとりたいと思うけど、どうなるかなあ、、、、」
リーの言葉に私はドキッとした。当時彼は35歳だったし、渡米したら、、、、、思わず、結婚はしないのかと訊く。
「もちろんその可能性もあるからわかんないね。幸せな結婚なら喜んでするよ。」
内心ホッとして、私は腕が触れそうなくらい近くでハンドルを握る彼の横顔を何度も盗み見し、うっとりした。
ようやく烏来に到着しても、駐車するのに往生し、またもや込み合う温泉場に驚いた。
だが、私はそんな周囲の状況など実際は何も関係なく、彼のそばにいるだけでウキウキしていた。これと言って食べたり、買ったりもせず、また台北に向け彼の運転で峠道を戻った。アクセル、ブレーキをしきりに踏まねばならない彼は足がつらそうだった。
台北に着くと、ちょうど夕食に適した時間になっており、リーは家族に電話して、外食すると告げた。
まだリーといられる。
私はまだ夢の中にとどまることを許された。
2008年12月16日
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