実は、玄奨三蔵法師のこの遺骨、昭和17年南京を占領していた日本軍が石棺を発見、日本の専門家により三蔵法師のものと確認され、半分を日本に持って行かれ、しばらくは東京にある寺院に奉納されていた。
後に、爆撃を恐れ、住処を変え、今は台湾最大の湖・日月潭のほとりのお寺で守られているというわけである。
尼僧の話に甚く感じ入った様子のリーは、100元で家族の健康を祈願する蝋燭を購入し、供えた。
寺を辞す際は、私も彼も何度も合掌し、尼僧に頭を下げた。
石段を下りる時、紺碧の日月潭が視界に広がり、娘たちと感嘆の声をあげる。太陽はすでにギラギラ降り注いでいた。
マイカーは再びエンジンをつけ、次なる目的地・玉山と阿里山を目指し疾駆した。
玄奨寺を想い、合掌。