それは日本の観光地とよく似た風情がある。土産物屋やちょいと歩きながら飲んだり食べたりできる屋台とかで、さほど珍しくもないが、湖を独り占めできそうなほとりのホテルはかなり素敵で、一泊してみたい気になる。いや、ゆっくりテラスでお茶するだけでもいい。
だが、3歳と4歳の娘たちがいては、じっくり思索したり追憶したりするのは難しい。優雅にお茶なんぞ10年早いというところだ。
にぎやかな家族連れにはボートに乗らないか?と地元業者が熱心に声をかけてくるくらいだ。日月潭を1時間半ほどかけて巡るらしいが、料金は安くないし、暑くなってきた湖面でそんなに長く子守り?と想像すると乗る気にはなれなかった。
散策を満喫した後、車ですぐそばの文武廟へ寄る。
台湾には「廟」が多く見られる。日本で言うと「寺」だろうか。
まだ正午には時間があったが 、日差しはすでに強く、冷房の効いた部屋に入りたくなる。
それで午後1時、早々と青年活動中心にチェックイン。春にも鴨肉の産地・金山で利用したあの青年活動中心の日月潭版である。
リーが予約したのは210号室、唐式で靴を脱いで上る板床の部屋だった。