しかし、それを実際上の歯にはめて据わり具合を見るのに約1時間かけて例の若い男の子(のように見える歯科の青年、看護師だろうか)があーだこーだと奮闘した。時折、そばにいる先輩看護師か、もしかしたら台湾大学医学部の研究生みたいなこれまた若い女性に質問したり、意見を求めたりしていた。
食後の午後、横になったままの私は睡魔に襲われつつ耐え、ようやく作業が終わり、晴れてマイ・マウスピースを持ち病院を後にした。
その日から毎晩就寝中ずっとそれをつける生活が今も続いている。
一連のマウスピース作製に要した費用は日本円で4000円余りだった。
ところがその後、思うようにマウスピースの効果は出なかった。そのもの自体の効果より、こめかみに打つ注射が効いている気がした。
1月の激痛こそないが、常に右の頬の辺りはうずうず疼いたし、友人と会い、数時間話し込むと痛みははっきりと増し、つらかった。
「本当にマウスピースって効くの?」
どうしても疑いの気持ちが沸き起こった。
顎関節症専門医・王若松医師が「松葉杖のような効果がある」と話していたことを実感できたのは、次に受診した際、実習生のような若者ではなく、若手医師に近いような男性看護師が再度マウスピースの据わり具合を調整してくれてからであった。彼がまた削り、さらに私の歯にピッタリするようにしてくれた後、マウスピースはめきめき本領を発揮し、1年半経った今でも注射や薬ナシでほとんど痛みを忘れる生活を送っている。
顎関節症でお悩みの方、ご参考に。