社長との口論で明日にも失業かと思われたリーだが、その後は社長とほとんどまともに会話することはなかったものの何とか月末まで勤めてくれた。
しかし、有給を消化するためもあり、4月彼はしょっちゅう休みを取り私の家事はさらに増大した。
娘たちは休む間もなく風邪をひき、40度の高熱で座薬を入れることもあったし、私たち夫婦もうつされることは多々あった。子どもの風邪はあなどれない。しっかり大人にも感染し、症状も決して軽いわけではないのだ。
さすがに痛みが増し、4月29日、3ヶ月ぶりに台湾大学病院歯科顎関節症専門外来を受診する。
電話で予約していたし、受付も5番と早くすぐ診てもらえたが、王若松医師の勧めでマウスピースを作ることになり、その模型取りに40分ほど要し、例の注射も打ってもらったりで、清算が終了したのが11時。
マウスピースは日本の日赤でも話を聞いたが、やはり有効らしい。
「例えてみれば、足を怪我した人が松葉杖をついて痛みを和らげるようなものなんですよ」
と王医師は説明した。
実習生かと思しき若い助手のような男の子が私の「歯形」を取ってくれる。水分を含んだ粘土のようなものを何度も口に入れられ、顎が疲れた。
出来上がりは一週間後。
その予約もして、急いで家路についた。