顎関節症の症状や進行速度には個人差があるが、私のような最悪のところまで放置せず治療を始めてほしいと心より忠告する。
まさに、待ちに待った1月28日月曜日。ランは幼稚園、メイは義母に預け、リーが出勤時に台湾大学病院まで送ってくれた。
現地では台湾大学病院を「台大医院」と言う。地下鉄の駅名にもなっている台湾を代表する医療機関だ。
「医院」は日本語の総合病院に当たる中国語で、日本の個人医院のような規模のものを「診所」と称するのが一般的だ。
外観しか見たことがなかった台大医院だが、中に入ってみるとまるでそこが一つのコミュニティか村のように大きく機能している。売店、スターバックス、コンビニなども完備され、一日でも時間を潰せる感じだ。
予約を取っているので直接歯科まで歩く。歯科は中央玄関からいちばん遠く、散歩までできてしまう。
予約済みの患者の中で先着順に診察を受けるシステムで、ようやく私の名前が呼ばれる。四文字の名前が廊下に響く。それでだいたい私が日本人だとわかるだろう。中国語の姓のほとんどは一文字だし、漢字三文字の名前はまず存在しないからだ。
あー、夢にまで見た顎関節症の権威・王若松医師。60歳くらいだろうか。経過や症状を説明してから診察に入る。
できるだけやわらかいものを食べ、しゃべらない、頬杖禁止、バイオリンはダメと指示される。
「しゃべらない」? これは困ったことになった。