本来飛行機に乗るはずだった翌8月18日は台北に台風襲来、この風雨では着陸困難のため欠航になっていただろうと思う。
私が日本にいた2ヶ月の間に、リーはお弁当を作って出勤する習慣がついていた。これは小遣い節約というより、会社周辺に飲食店がほとんどなく不便だからだ。真夏だと徒歩で往復するだけで満身汗だくにもなると言う。
「私がお弁当入れようか?」
これも妻の務めかと一応訊いてみた。彼は炊事ができる人なので「要らないよ」と答える可能性十分、それならそれで助かるのだが……
「じゃあ、頼むよ。」
私の料理に文句をつけることは日常茶飯事のリー。その返事にうれしいやら困惑するやら。が、仕方ない、やるしかない。会議などの関係で火・水・木のみでいいが、それ以後お弁当作りも家事に加わることになった。外食が安い台湾ゆえ、お弁当の方が高くつく気もするが、食堂がそばにないのだから仕方ない。
台風が去り、8月20日、入園が迫ったランの永華幼稚園へ母娘3人で遊びに行ってみる。ちょうど入園手続をしてくれたクレア老師が私たちを見つけ、「ランちゃんのクラスや教室はもう決まってますよ」と中に案内してくれた。
蜜蜂組、担任はヘレン老師。再度断わっておくが、この幼稚園では先生をすべて英語名で呼ぶことになっていた。ヘレン老師は陳という苗字の二十歳そこそこの若い先生だった。
また、その日、近いうちに入学金と9月分の保育料、そして戸籍謄本を持って来るよう言われる。