見るべきものは、設備、立地条件、全体の雰囲気、先生、保育料などだが、自宅からの距離も重要だった。
その観点から、リーのイチ推しは、徒歩3分くらいで、自宅から2番目に近い永華幼稚園だった。
私は徒歩約10分圏内を見て周り、最大規模の永華はアットホームさに欠けたり、義妹の見学時の印象悪さを聞いており、ランクは下位だった。
それで、訪問した幼稚園の特徴やウリをその都度リーに宣伝したが彼の考えは変わらず、半ば仕方なく、最後に永華幼稚園を見学に行った。最初に応対してくれたのが主任のクレア老師で、懇切丁寧に説明し、3階建ての園を案内してくれる。クレアと言っても、生粋の台湾人なのだが、発音の難しい中国語名ゆえか、すべての先生が英語名を持ち、園児たちもそれで呼んでいる。台湾では珍しくないことだ。
最後にクレア老師は「パパもまた一緒に来てください。それから、4月中に入園申込していただくと2千元割引特典がありますよ。」と言う。
その日曜日、クレア老師はわざわざ自宅に電話をくれ、一家4人で見学に行くことになり、その日に私たちはランの幼稚園を永華幼稚園に決定する。
私の「永華嫌い」が緩和したのは、園内が広く、大規模幼稚園のぎゅうぎゅうした窮屈なイメージが吹っ飛び、リーが推し続けた「自宅から近く、園庭がこの辺りで一番広い」点に私も良さを痛感したからだ。日本ではあまり考えにくいが、幹線道路際に建ち、園庭を持たない幼稚園が多いなか、永華はまだゆったりしたスペースを持っていた。保育料もほぼ相場と言えた。
永華幼稚園9月入園を決めた4月22日は、もうひとつ大きな出来事が起きた日でもある。
それは………