私のそのメールを見たという翌日、リーは出勤する際、「今週末は友達と1泊2日で出かける」と言い残して出る。明らかに私が夫婦生活の不調を訴えて元大家の奥さんに書いた内容がそうさせたものとわかる。
身体が重い。地球の引力が急に強まったように、足元から引っ張られるようだ。とうとうここまで来てしまったのか、とあらためて恐ろしくもなる。
父にskypeで打ち明けると、そんな極めてプライベートな事を他人に明かすなど、リーにとって甚だ失礼だ、と叱責される。私は大泣き。2人でよく話し合い、解決しろ、と取り付く島もない。
悲しく、不安な日、いつもなら一人で寝るのを好む私は、ランと一緒に寝たくてしかたなかった。
「ラン、今夜はママと寝てくれる?」
とふだんと立場が完全に逆転した。情緒不安定……
反省、後悔、でも、私が苦しんできたのは事実だ。
そんな様々な思いがぐるぐる回る。
大変抽象的で申し訳ないが、平たく言えば、それまで私が生きてきた数十年間、私が何の気なしにした言動、それはだいたいさほど反発もなく、物議もかもし出さず済んできたが、リーには通用しないことが多々あったということである。思いも寄らぬ場面で否定されたり、叱られたりするので、驚くし、ではどう言えばいいのか、どうすればよかったのか惑う。生きる地盤をガラリと変えられたような心許無さが常にあった。
しかし、ここは台湾。2人の子供もいる。
もう自分ひとりの喜怒哀楽で動けない段階に来ていることを再度実感することになる。