リーには「朝っぱらから娘たちにあれしろこれしろと言うな!」と叱られるし、見る見るうちに人相が変わって行くランを見て胸が痛むし
泣きたくなる。
ひどく内出血している。顔だけにリーも心配し、平日だったが彼は翌日、この前火傷を治療してもらった病院へランを連れて行った。
台湾では「X線}と言うレントゲンの結果では異常なし、冷やした方がいいと言われ、帰って来る。
しかし、3歳の子がじっとアイスノンなどを顔に当ててじっとしているわけがない。
パソコン電話・skypeで日本のじーちゃんばーちゃんとも画像つきで話すが、痛々しいランの顔にしきりに心配している。
外出すると、顔見知りは必ず「どうしたの?」と訊いて来るし、面識のない道行く人からも声をかけられる始末だ。腫れも内出血も一朝一夕には治らないし、出不精になってしまう。
それでも仕方なくランを連れて出かけると、自分から、
「この子、家の中で転んで、打撲してこんなになってます。レントゲンは問題なし、もうすぐ治ると思います!」
と説明したい衝動に駆られる。
そんな週末、リーの提案で地下鉄「圓山」駅近くの市立児童遊楽園に行くことになった。そこからは、一昔前は決まって内外の要人が利用した由緒ある高級老舗ホテル「圓山大飯店」が見え、国内線の主要空港である松山空港に発着する飛行機が手を伸ばせば届きそうな低空で見られるスポットでもある。