ソウルから帰国まもないあの4月も然りで、30度を突破する日があったかと思えば、17度まで下がり、最高23度という肌寒いような日も現われた。
4月21日日本の実家へ一時帰国、というスケジュールをにらみながら暮らす。
以前通っていた音楽教室とも密に連絡をとり、週に一度は二胡のレッスンを受けた。
多忙な毎日にあっても、その頃松江の従兄夫婦がソウルに郵送してくれた「育てる者の日常」という本を読んでいた。著者や出版社名は忘れてしまったが、彼らが子育て時代に愛読した本で、ぜひ私に贈りたかったと、親切に航空便でプレゼントしてくれたものである。
賢明なる従兄夫婦が推薦するだけあり、心に響く真実の言葉に彩られた書で、私は改心したり反省もしきりであった。
その頃、メイは1歳3ヶ月、ランは2歳半。
反抗期真っ只中のラン、言うことを聞かず、わかっているようで繰り返し危ないこと、以前叱られたことをしでかし、私をムカッとさせた。あれだけ教えても、なかなかちゃんとトイレで用を足さず、「この子、大丈夫なんだろうか、、、もう2歳半なのに」と不安にもなった。
彼女らをしっかり諭さねばならない時、ついカーッとなって過度に声を荒げてしまうこともしばしばで、気づいていながらコントロールが利かず自己嫌悪。幼い彼女たちが不憫で、申し訳なく、謝ったこともあった。
子育てとは結局自分の成長過程でも成長課程でもあるのだ。
リーが諸々の雑務のため、数日間ソウルへ飛んだ。
帰国後、自宅マンションの庭の桜の花が咲いて美しいことを告げた。
やはり日本より遅い開花なのだが、薄桃色の花があの丘に揺れる情景を思い浮かべると、たまらなく切なくなった。