週に一度は家族そろって外食に出かけたが、食堂、レストランに入り腰を下ろせば、日本なら水やお手拭が出るところ、韓国ではキムチが供される。結構な量なので、一足早く韓国入りしたリーに、
「これ、無料なの?」
と尋ねたものだ。
無料どころか、食べ終えてしまったらまた足してくれるという。
白菜キムチのみの店、大根など数種類出す店など様々、味も店の数だけある。
注文したものを待つ間、さっそくリーと赤く色を染めたそれに箸を伸ばすのが常で、互いに一口いただいたところで感想を述べ合う。
だいたい私たちの評価基準、すなわち好みのキムチは合致していた。
酸味がきついもの、激のつく辛いものは好きではなかった。好みは、辛いのだが全体にまろやかで、甘味さえ感じる絶妙キムチ。これに出会えば、その店は記憶に残り、繰り返し行きたくなった。
かなり多くの香辛料を使い作られるキムチ、もちろん辛く、刺激物と言える。胃の弱い私は当初、美味なるキムチに出会い、つい止まらずバリバリ食べてしまった後、胃もたれするのでは、と不安になったがキムチで体調が狂ったことは一度もなかった。脱帽。
聞けば、韓国のだいたいの家庭にはキムチ専用の冷蔵庫があるという。白菜が収穫される時期、そこかしこで米俵顔負けのビッグ白菜がゴロゴロ、何事かと思うほど豊富に売られているのは、キムチ用だとのちに知る。ソウルで知り合った日本人の中でも、
「うちの義母も毎年作りますよ」
という人が多かった。
本当に、本当に、韓国はキムチな国なのである。