自宅から徒歩で10分足らずのところに朝市が立つが、道路を挟んだ向かいに眼鏡屋が4〜5軒並んでいる。
台湾には多くの眼鏡チェーン店がある。それぞれに少しずつ特色やウリがあるのだが、だいたい似たような感じなので、あとは価格やサービス、TVコマーシャルなどから受けるイメージで選ぶ。
また、日本と異なり、処方箋なしで使い捨てコンタクトが購入できるので、それが50元でも安い店を探す。ドライアイの私ではあるが、極めて薄い使い捨てコンタクトレンズなら3〜4時間は大丈夫で、時々使用する。両眼30枚で約1200〜1300台湾ドル(約4000円)が相場だ。
基本的にコンタクトに頼れないド近眼のため、古い眼鏡のフレームを用いたりして、時々眼鏡を新調する。服やバッグさながら、いろいろカラーをそろえたくなるのだ。近視が強い私はレンズは良いものでないと恐ろしく厚くなってしまうが、フレームで贅沢を言わなければ、1万円ほどで結構ちゃんとしたものが手に入る。私くらいの近眼で乱視もきついと、日本でなら3万円は必ず超えてしまう。
度が強いので5日ほどはかかると毎度言われるセリフに、いいですよいいですよと頷き、店を出る。出来上がるのが楽しみだ。
その翌日、リーからいい部屋を見つけたと国際電話が入った。
ソウル支社が入った背の高くないビルのすぐ裏隣りに建設中のマンションの2階だという。あと1ヶ月ほどで完成するから問題ない、通勤時間徒歩一分、窓から互いに見えるくらいだよ、と彼の声が弾んでいる。
私もそれを聞いてホッとする。メイもランもまだこんなに小さい。周囲に親戚もない。リーの手助けが必要なのだ。
「まだ建設中だけど、もうほとんど買い手は決まってて、そこと最上階の8階しか空いてなかったんだよ。もちろん8階の方が眺めはいいけど、最上階はさらに値が張るんだ。2階でいいよね。」
十分だ。
「いいよ、2階で。地震があった時、2階の方が気が楽だし。」
と言うと、リーは、
「ははは、、、韓国って地震ないんだよ。」
と笑った。