台北を発った日の夜、粉ミルクを作っていると、変な音がしたかと思えば、メイが泣き出した。見ると、鼻から白いものが出ている。ミルクのようだ。息がしにくそう。
ミルクを吐くことは多いが、なんで鼻から出てるの?と抱き上げ、背中をたたいたり、「どうしたの?大丈夫?」と声をかけてオロオロ、救急車を呼ぼうかとも思う。真夜中だし、どうしよう、、、、、
義母宅に電話してみたが誰も出ない。
いい手はないかと頭の中はぐるぐるまわる。
そこで思いついたのは、珂産婦人科の新生児室だった。あそこなら24時間看護師が待機しているし、育児相談も受け付けてくれる。メイが退院してまだ1ヶ月ちょっとだし。
果たして、看護師の落ち着いたアドバイスはこうだった。
メイは鼻が詰まっていると思われる。ベビーの鼻用吸引機を渡したでしょう?! あれで中の物を吸い取ってみてください。
指示通りやると、うまく取れて、その後メイはふつうにミルクを飲んだ。嘘のようにケロッとしている。
ホッ。
たしか、前回リーが中国へ行った時はランが高熱を出して慌てた。
何たらの法則ではないが‘こういう時に限って’って本当にあるように思う。
義母宅に預けているランは義母の風邪をもらったのか、叔母が小児科へ連れて行ってくれたと翌日聞く。はー、母親になると心配は尽きない。
リーのソウル行きは事実上「下見」だった。
ソウル支社長後、台北本社に帰った際にはまともなポストはないだろうと固辞したが、断りきれない状況に追い込まれていったのだ。