彼女は2人姉妹の姉で、妹は中学校教師、そのアパートの4階と5階を二世帯住宅のように借りて暮らしていた。そう、彼女の夫はいわゆるマスオさん状態なのだ。IT関係の専門家で年齢のわりに高給取りだと聞いた。
台湾でも今は長男家族が両親と暮らすとは限らない。日本語の「嫁姑関係」に当たる中国語はちゃんとあるし、実際、険悪なそれがあったり、またそうなるのを避けるために早くから別居するケースも多い。
私も時々、「お義母さんとは同居?」と聞かれることがあった。
「いいえ、近所に住んでるだけです。」と答えると、「じゃあ、いいわね。」なんて言われるのがほとんどだった。
従妹の家のパターンは少数派だが、うまく行っているようだ。叔母(義父の義理の妹)は台南出身の朗らかな女性で、会話の多くを中国語でなく台湾語で話した。そっちの方がしゃべりやすいらしい。そうなると私はお手上げなのだが、気になることはそっとリーに、何だって?と訊ねた。
娘が満一歳になるその従妹はリーのことを「兄さん」と呼び、私を‘長男の嫁’にあたる呼称で「姉さん」と丁寧に呼ぶ子である。
中国語は親族の呼称が細かく区別されている。私もだいぶ習得したがいまだにリーに教えられたり訊いたりする。
そこの叔父たちは典型的な祭事を重んじる世代の人たちで、私たちが「まあこれはいいか」と省略することでもだいたいしっかり執り行う。従妹夫婦も共働きで暮らし向きがよく、イーハンは一人っ子。そういう行事は毎回華やかだった。