もちろんそれは私もイタいところだったが、産後10日というと自分の休養と赤ちゃんの世話で大変な時期だ。まして、里帰り出産ではない。義母には頼みにくいこと、気を遣うことは山ほどある。自宅にいるより気が楽だ。
それに、ランが生まれた10月末と異なり、台北でも最も寒い時期に当たる1月のこと、不安も大きかった。坐月子中心の行き届いた看護とサービスは大きい魅力だった。
一ヶ月くらいその件は落着しなかった。私は粘り強くリーに希望を訴え続けた。
そして、ある週末、例によって義母宅に帰った時、その話題が出た。
私たちのやり取りを聞いていた義母が言ったのだ。
「入ればいいじゃないの、今回も。私だって病院へ行ったり、妹の手伝いに行く予定もあるし、ずっと面倒見てやれないもの。」
まさに鶴の一声であった。リーは本当にその場で折れたのだ。
念のために言っておくが、リーはマザコンではない。だが、あてにしていた母がそう言ってはミもフタもなかった。
私は思わず拍手喝采、「ママ、謝謝!」と喜んだ。
義母には3人妹がいたが、その時言及した妹とは真ん中のその人で、出家して寺で暮らしていた。近々そこで催しがあるらしく、義母は泊りがけで手伝いに行く予定も入っていたのだった。
こうしてめでたく私はその産褥期ケアセンターに再び帰って来た。
今回はシングルルームなので、リーのいびきに怯える必要もなかった。そのセンターにいることが、台湾で暮らす私の里帰り出産だった。