当時は日本で「冬のソナタ」が人気を博し、韓国びいきは社会現象にもなっていたが、私はそのドラマを一度たりとも見たことがなく、ただ「寒い、日本人に冷たい」というマイナスイメージが強かった。夫婦だけならまだしも、0歳と1歳の子連れだ。不安の方が大きいのも当然と言えば当然だろう。
しかし、リーは単身赴任を嫌ったし、私も母子3人だけ台北に残るのは気が重かった。ソウル行きの可能性は五分五分のまま推移した。
1月16日。自然分娩した産婦が退院してよい日を迎えた。
出産後3日目のこの日、私は前回同様、珂産婦人科の階上にある坐月子中心に移動した。ご記憶にあるだろうか、いわゆる「産褥期ケアセンター」とでもいうべきところだ。受付にいるスタッフもランの時と同じで気心が知れており、とても懐かしい。
今回私にあてがわれた部屋は801号室、個室だ。前回はリーも泊まれるように、彼がツインルームを取った。
滞在期間は10日間。これは前回と同じ。
しかし、坐月子中心に入るか否かは今回もめた。「2人目で君も赤ん坊の扱い方は心得てるでしょう。それに、お袋はもう親父の世話をしてないんだし、入らなくていいよ」とリーは最初、私の申し出を拒んだのだった。