今夜中にも生まれるかもしれないと思い、リーは徹夜も覚悟で来たようだった。
私は病室内にある洗面所でシャワーと洗髪を済ませ、病院指定のネグリジェ式お産服に着替えた。懐かしい。ランを産む時も着たことがあった。
リーと2人でいると、彼のケータイに電話が入り、同僚夫婦らが早くもお見舞い(?)に来ると言う。
しばらくして、夜市などでお馴染みの食べ物などを手土産に数名の知人たちが701号室を訪れた。決して広くはない個室はにぎやかになるし、メイは気が変わったのか大人しくなり、朝からのいつもとちがう体調の悪さはどこかへ行ってしまった。
「おかしいなあ、お腹も腰も全然痛くなくなったわ。」
我ながら拍子抜けする。
謝医師が夜、様子を見に来てくれた。私の変わり様にいささか驚く。
入院は無駄だったのではないかと思い始めていると、
「いや、明日かあさって中には必ず生まれますよ。で、問題は自然に陣痛が来るのを待つか、明日陣痛促進剤を打つかですね。」
しばらく謝医師と意見交換した後、翌日午前10:00に陣痛促進剤を投与することに決まった。どうせ一日しかちがわないなら早い方がいいと思ったし、謝医師もそれを勧めた。
この結果を受け、リーは病院待機を中止して自宅に帰ることにした。
ようやく静かになった。
私は、依然お腹に留まっているメイと2人、暗い病室のベッドに横たわり、眠りに落ちた。
明日かぁ・・・・・
明日はリーの会社の忘年会の日でもあった。