韓国人がその支社のトップを務めていたが、公私混同のひどい沙汰になっており、社長は台湾人のまとめ役を送り込み、事態の収拾に当たりたかった。
リーはその前香港の支社長を務めていた。ランを妊娠していることがわかった時期だ。
社員の平均年齢が若い会社で、リーくらいになると最年長クラスに入るし、もちろんその分経験もあり、彼は英語ができたのでどうしても社長の目にとまりやすかった。
リーと社長はとても馬が合う方ではなかったが、結局社長にとって最後の頼みはリーだったのだ。
「単身赴任はいやですよ。家族一緒ならいいけど、今、2人目の子が生まれようとしてるんです。」
リーは珂産婦人科で受けた電話で答えた。
しかし、社長はひるまない。
「OK,家族そろって暮らせる好待遇にしよう。」
はーっ、困ったもんだ。
診察を待っている間はそれでなくても気分がすぐれずつらかった。
ようやく順番がまわって来た。
子宮口は2cm開いているという。これから3階へ上がり、子宮の収縮が始まっているか検査すると謝医師に指示される。
40分かけて診る、長い検査が始まった。