8月20日。とうとう今回も抵抗空しく、リーに押し切られ、羊水検査を受ける破目になった。初めての時より痛みは少なかったが、検査中にせよ、結果が判明するまでの2週間にせよ、不安で落ち着かないのは同じだった。
台湾で生活すること自体、さほど困ることはなかった。知人友人はいたし、ネット時代を迎え、パソコンをONにすれば、世界とつながっている安心感を即座に得られたし、言葉にも不便は感じず、日本にいるのと大差なかった。
しかし、やはりリーよりはずっと立場が弱かった。彼は台湾人で、年上で、私には一人もいない親族が彼には身近にたくさんいるのだ、無理はない。そういう心細さ、孤立無援と四面楚歌状態に陥りやすい寂しさは常にあった。
羊水検査当日と次の日は安静が必要で、日課の散歩と買物などはやめた。
そして、医師の指示通り3日後、ひとりバスで再検査へ行く。転ばないよう細心の注意を払う。
検査は5分で済んだ。胎児の様子は良好でひと安心。
それでもあと10日は晴れない気持ちで結果を待たねばならない、、、
だが、私には不退転の決意があった。何があってもこの子をあきらめない。雲隠れしても産むのだと。