「あの子は口が悪いだけ、私にだってひどいこと言うんだから。頭にくることよくあるわ。でも心根はとってもやさしい子よ。はいはい、わかりました、って適当に聞いてたらいいの。」
と、毎回してくれるアドバイスはだいたい似たようなものだったが、
話すことで、その時は楽になったものだ。
それでも、一向に改善しない2人の関係のどうにかしなければという思いは日に日に大きくなり、8月半ばのある午後、私は義妹(リーの弟の妻)に近くのカフェで話を聞いてもらった。
彼女は年齢こそ私より2つ下ではあったが、孫家に嫁いで8年ほど経っており、リーとのつき合いは私より長かったし、自己主張がきちんとできるしっかりした女性だったので、ぜひ意見を聞きたいと思った。
彼女と、実家以外の場所で私的な会話をしたからと言って、事態が急に好転するわけではなかったが、考えつくあらゆる方法で何とか窮状を打開しようと願い、実行することで、心の平安はいくらかでも保つことは可能だった。
それから、あの頃から私は盛んに小説や旅行記、エッセーなどを書き始める。小学校の作文の時間がとても楽しかったし、それ以来、物を書くことは常に身近にあった。再婚して、妊娠し、家にいる時間が増えて、ようやく時間的に書くことが許されるようになったのだ。書くことで癒され、精神のバランスをとっていたとも言える。